生きづらさについて考える⑤ 苦労してなかったら悪いんか?

自営業者の日常雑記

私は自営業でずっとやってきたので
会社勤めという経験がない。
住み込みで歩合制の
昔で言う丁稚奉公に近い感じの職人の仕事を数年、
後はバイトの経験くらい。

数年経験した京友禅の仕事でも、
ちょうど偶然にも私が入って間もなく先輩達が
独立していったので、
自分とほぼ同期と後から入ってくる人しかいなかった。

そこで一緒に働いていた人達とは、
皆で楽しく気楽にやれた記憶しかない。

この時の京友禅の先生(社長でもある)、
その後の仕事での絵の先生に対しては、
師匠だと思っているし尊敬も感謝もしてる。
これは一生変わらない。
けど会社組織の中での絶対的上下関係というのを
私は知らない。

20代から自営業を選んだので、
誰かの指示に従うという経験がほぼ
会社の中での複雑な人間関係も知らない。
そういう苦労とは無縁で生きてきた。

この事についてはあまり良く言われたことが無い。
組織の中で頑張った経験のない人は
本物の苦労を知らない
」とか、
若い時に苦労していない者は
ろくな人間にならない」とか・・・

若い時の苦労は買ってでもしろ
という言葉があるくらいだし。
苦労してない奴はダメだという事になるのかと思う。
でも、これにはいつも納得がいかなかった。
本物の苦労」とは何ぞや???
苦労に本物とか偽物とかあるんだろうか?

苦労ってしないといけないものなんだろうか?

仕事でもプライベートでも、
子供の時から大人になっても年寄りになっても
出来る事なら苦労とか無しで
楽しく生きてはいけないのか?

苦労した人だけが幸せになれる権利があるとか、
苦労してない人は物事の有難さが分かってない
とか、言われるたびに疑問だった。

プライベートでも、
嫁姑関係の苦労とか子育ての苦労を私は知らない。

貧乏を苦労と呼ぶならお金が無い経験はあるけど
耐えがたい辛さはあまり感じなかった。
一時期働きすぎて体を壊した時は辛かったけど。
こういうのは自分一人の範囲の事で、
人間関係とかは入ってこないし。

会社の人間関係、上下関係、組織の中での自分、
結婚生活、子育ての経験とその中での苦労

こういうのを経験すると一人前とは
世の中でよく言われている。

あらゆる事で地獄のような苦労をしたとか、
今もずっと苦労をしているという人がそれを語る。
それを聞いた人が、私の方がもっと苦労したんだと
さらに苦労話をする。

苦労とは人生の勲章なのだろうか?
私は要らんけど。

今振り返っても、規則、決まり事、
集団行動
の多かった子供の頃が一番つらかった。
それ以降は、子供時代よりはずっと自由があった。
何が起きても決めたのは自分だから。

「子供の頃のしんどさなど、苦労のうちにも入らない」
とはよく言われるので、そんなものを苦労と言っては
本物の苦労とやらをしている人に失礼なのだろうか。

子供のまま大人になりババアになったような人間。
それが自分。
でもそれのどこが悪いかと思って今日も生きている。




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