この本は長い間、
白人女性によって書かれた架空の
物語だという事にされていた。
それが近年になって、
ここに書かれている内容が全て
真実だという事が明らかになった。
この物語の主人公は実在した一人の
黒人女性。
幼い子供の頃は比較的恵まれた環境に居て
自分が奴隷だという事を認識せずに
育っている。
このままの状況がずっと続いていく事が、
現代なら普通に考えられるところだけれど・・・
親の代から奴隷であり、
その子供として生まれたて来たなら
その子供は生まれた時から奴隷。
奴隷の身分から解放されるには、
自分で自分を買い取るという方法か
自分を買い取ってくれた人が自由に
してくれるか
そのどちらかしかなかった。
奴隷は人ではなく物として扱われる。
住む場所の自由もなく
仕事の自由もなく
恋愛、結婚の自由もない。
小説の中での主人公の女性の名前はリンダ
(本名はハリエット)
この家の主人からのリンダに対する
異常な執着心は、
今で言うセクハラどころの話ではない。
そういう話が苦手とかトラウマのある人には
しんどい内容かもしれない。
この時代、奴隷の中にも
自由を求めて脱走を試みる者も時々現れた。
でもそれが失敗して連れ戻された時には、
今では考えられない残虐な刑罰が待っていた。
残虐な方法で殺される事も珍しくなかった。
他の奴隷達が逃げようなどと思わないように、
見せしめの意味もあったのかと思う。
それでもリンダは自由を求めて行動する。
失敗すれば何が待っているか知っていても
恐れて動かない事より行動する事を選んだ。
リンダを支えた、祖母、弟、子供達、隣人達。
その存在も大きかったと思う。
自分のためよりも子供達のためにリンダは
自由を勝ち取るまで頑張り抜いた。