時代は移り変わっていく。
映画も、サイレント映画からトーキーへ
アナログからデジタルへ。
そんな中で消えていく仕事もある。
好きな道を選んで生きてきたものの、
その時代の流れについていけなくて戸惑い
未来を描けない・・・
この物語の主人公も、最初そんな状況の中に居る。
子供の時以来会った事もない祖母の様子がおかしい
という知らせが突然入る。
この時仕事もしていなかった主人公は、
行って見てきてくれという頼みを断る理由もなく
仕方なく行く事に・・・
物語はここから始まる。
主人公サイドで見る今の物語が進行していくのと、
同時並行でもう一つの物語が進行していく。
主人公の祖母の若い頃からの物語。
この二つの物語がどう重なるのか。
読み進めるうちにその答えが見えてくる。
一人一人の人生は、
まさに一本の映画のようだと思う。
筋書きは決まっていない。
その中で悩んだり考えたり怒ったり笑ったり
色々経験しながら懸命に生きている。
主人公とその祖母という、
生きる時代背景も育った環境も全く違う二人の
それぞれの物語。
普通に考えれば何の接点もなさそうに見える。
この二人の間にある共通の物であり
この物語全体を通して中心となっているのが映画。
映画が大好きな人なら、
中でも特に古い映画が好きという人なら
この本を読んで心に残る場面は多いと思う。
何か大事件が起きるとかそういった内容ではない。
その時代その時代に当たり前に過ぎていく日常があり、
そんな中にこそ一人一人の人生のドラマがある。
私は読み始めると続きが気になって仕方なかった。
物語の最後の場面では感動で涙腺崩壊。
自分の生まれた時代を精一杯生き切った人の人生は、
それだけで輝いて見える。
私が買った本はこちら。
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