数年前にも一度読んだ事のあるこの本。
もう一度読んでみたくなって読んだ。
やっぱり深く共感できるところが多い。
すぐ悩んでしまう人というのは、
人生を複雑に考えすぎていると思う。
余計な思考を手放した時から
人生はもっとシンプルだとわかる。
そしてもっと楽しみに満ちている。
私の解釈が正しいかどうかは不明だけど、
好きなように感想を書いて観る。
この本は、
哲人が語るアドラーの教えと、
哲人を訪ねてきた若者との会話
という形で書かれている。
哲学書に馴染んでいなくても
とても読みやすい。
この若者と同じようなことで悩み、
苦しんでいる人は多いと思う。
哲人の語る内容に、
青年はなかなか納得できない。
そう言われても実際こうじゃないかと
反論したくなる事も多い。
その反論に対して哲人が、
真正面から受け止めて答えを示していく。
読んでいる方も、
これが自分の聞きたかった事だという
質問が出てくるかと思う。
それを読者に代わって
登場人物の青年が質問してくれている。
そのように感じるかもしれない。
アドラーの教えは、
この世の中にある悩みの全ては
人間関係の事であると定義している。
確かに、
一人でやるような仕事をしている人でさえ
その先には人との関わりがある。
仕事以外の日常でも、買い物一つしても
人と関わる事になる。
全く誰ともかかわらず生きていく事は
不可能と言っていい。
その人間関係の中で、
多くの人が悩むのが「自分は他人から
どう思われているか」というところ。
家族間、恋愛、会社内、仕事関係、
友人、不特定多数の世間。
人から認められたい。
好かれたい。
よく思ってもらいたい。
こういった承認欲求の塊になると、
人生はどんどん苦しくなる。
アドラーの教えでは、
承認欲求は不要というのが基本。
かといって他者と関わるのを
否定しているわけでもなく、
他者に貢献したい気持ちを
否定しているわけでもない。
精神的に自立するというのが
どういうことなのか、
この本の中で語られている。
この本の中で語られているもう一つの
大事なメッセージは、
人生は一本の線ではなく
沢山の点の集まりだという事。
どこか未来に目標を置いて、
そこまでの間を我慢と忍耐で歩き続け
目標という頂上にたどり着く事を
良しとする説も多い今の世の中で
全く違う考え方。
大切なのは過去でも未来でもない。
今という瞬間。
今という点の集まりが人生。
過去のトラウマという考えも
アドラーは否定している。
「過去こうだったから今自分はこうなんだ」
とか、「今までこうだったから
これからもきっとこうだろう」というのは、
確かに人生を一本の線と捉えていると思う。
読んで腑に落ちたら、
驚くほど心が軽くなる本。
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え