中村哲先生について
(知っている人は読み飛ばしてください)
1984年に医師としてパキスタンに赴任した後
アフガニスタンの厳しい旱魃に遭遇。
医療だけでは人の命を救えないと痛感した。
それから1600本の井戸を掘り、
25キロ以上に及ぶ用水路を拓いた。
凶弾に倒れ亡くなるその日まで、
アフガニスタンでの支援活動を続けた。
この本は中村先生へのインタビューの内容が、
主に会話形式でまとめられたもの。
会話形式なので読みやすく、
現地の様子を紹介するカラー写真も
所々入っていて状況が伝わってくる。
医師である中村先生が何故、
本来の自分の仕事とは全く畑違いの活動を
するに至ったのか、
綺麗な水というのが人間の健康や命に
どれだけ大きく影響するのかということも
この本から知ることができる。
どんなに薬を使っても、
綺麗な水が手に入らない事で病気になる人、
皮膚炎や、怪我が治らない事など出てきてしまい、
いたちごっこの状況。
それを根本的に改善するのに、
医療以上に大切な水の確保。
現地の状況として、
紛争が起きたり貧困に悩まされる人が多かったり、
病気で命を落とす人も多い。
その中での支援というと
悲壮な覚悟と使命感を持って日々向き合うような
イメージを持つ人が多いかもしれないけれど
必ずしもそういう事だけではない。
これもまた、実際にそこにいて活動している人しか
知り得ない情報だと思う。
人々の毎日の生活、その中での、
急がず慌てずゆっくり物事を進めていく様子、
のどかだったり微笑ましいエピソード。
そこには人々が生きている普通の暮らしが見える。
自分の行った事もない、
実際に関わった事のない国や地域に対して、
TVから伝わる情報だけを信じて
勝手なイメージを持ち
それを真実として語る人は多い。
海外からの支援というのも
一種のブームのようになって、
その国や地域の事をよく知らないまま
自己満足で何かを送る。
現地に暮らし、そこの人達と向き合い、
現地を知っている人の情報を読む事で、
そういう事が少しは減るといいなあと思う。
私は京都駅地下の、くまざわ書店さんで
この本を買いました。
本屋でも買えるし、アマゾンでも
探したらあったのでリンク張っておきます。
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