夢というのは、普通自分視点で見ることが多いらしい。
夢の中で考えて動いているのも現実の自分ということ。
それを知ったのは人から聞くようになってからで、
そういうものなんだと思った。
私の見る夢は2〜3回に1回は自分視点ではない。
他の人だったり動物その他。夢の中では完全に自分以外の誰か、
何かになっていて、その視点で見ている。
そこに現実の自分というのは最初から存在しない、もしくは、
最初自分視点だったのが、夢の中に出てくる他の存在の視点に
どんどん変わっていく。
目が覚めた時は、自分が現実にはその存在じゃなかったことに
気がつくまでしばらくかかる。
こういう夢を見た時、
電車に乗っている時や外にいる時、
(自分以外の人が何人もいる場所で)
周りの人と自分を違うものとして
自分の事を「自分」と認識しているこの意識って
一体なんだろうと思う事がよくある。
別に自分が嫌いだとか、
自分以外の何者かになりたいといった願望は
一切無いけれど。少なくとも表面意識では。
ここしばらく無かったけど昨日またそういう夢を見たので、
その事を書いてみる。
自宅ではなく旅先で一泊した時のこと。
夢の中での自分は、男性で年齢は30代半ばくらい。
奥さんと、小学生くらいの子供がいる。
病院なのかどこかの部屋なのか、
家族以外は居ない部屋でベッドに寝ていて、
自分の命がもう長くない事を知っている。
今が話せる最後かもしれないという場面で、
奥さんに「愛してる」「ありがとう」と何度も伝える。
「先に行くね」とも言って、抱きしめ合って、奥さんからも
「愛してる」「ありがとう」という言葉が返ってくる。
でも、肉体の終わりが自分という存在の消滅ではない事は
知っていて、奥さんもその事を知っている。
辛い別れという感じではなくて、静かに湧き上がってくるのは
満たされた気持ち、暖かい気持ち、安心感、感謝。家族への愛情。
もうすぐ死ぬとわかっているけど、痛みや苦しさは無く
無念という感情も無く、深い安らぎと満足感がある。
起きた時は、この感覚がまだ残っていて、
自分が夢の中の人物じゃなかったことに気がつくまでに
しばらくかかった。
そうか、普通に生きてるし、今日ここで一泊したし、
現実はこっちだったかという感じ。
すごく気持ちのいい目覚めで、嫌な感じは全然無いし、
何かに憑依されたとかでもないと思うけど。
起きた時は、夢の中の自分の見た目、声、奥さんの顔や声、
白っぽいけど真っ白じゃなくて生成りのような色合いの多い
部屋の中の様子、子供の存在など、
はっきり覚えていてかなりリアルな夢だった。
現実の自分は、女性だし、50代後半だし、
パートナーは居ても子供は居ないし、健康だし、
まるで違う人物だったと思う。