ディストピア

自営業者の日常雑記

見えない檻 後編

塀に沿って、私と明日香ちゃんはひたすら進んだ。 最初は必死で走ったけれど、ずっと走っていては体力がもたない。 まだ追手が来る様子も無いので、途中からは歩いた。 時刻は深夜なので、全ての住居が明かりを消していて、辺りはシーンと静まりかえってい...
自営業者の日常雑記

見えない檻 中編

高層ビルみたいなもっと高い建物を想像していたけれど、全然違っていた。 広々として緑豊かな美しい庭の中を歩いていくと、二階建ての木造の建物が見えた。鉄筋コンクリートとは違う感じ。 鉄筋コンクリートが一番耐震性もあるし素晴らしいと教わってきたけ...
自営業者の日常雑記

見えない檻 前編

呼び出し音が鳴っている。 私は椅子から立ち上がって、玄関まで行った。狭い集合住宅の部屋の中で、わずか数秒で行ける距離。 ドローンが配達してくれた食料の箱を持って部屋に戻る。常温の方と、青いシールの方が冷蔵庫に入れる方。 それが済むと、再びパ...